1話 大暑の暮れに

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「お~今は買い物の最中なんだよ、夜にでも連絡する」 「あ~そ~なの?はいよ~」 肝心の裕太がまだ西希司に戻ってきてない。 電話を切った僕は何もする事がなくなった。 そして再び窓から外を覗き込んだ。 「暇だ~…」 帰ってきたはいいが、特にする事がない。 まだ時刻は午後三時。真夏の炎天下の日差しは、僕の肌をこんがりジューシーに焼こうとしているようだ。 部屋の中なのに汗が出るなんて… 「あ…」 窓を開けていなかった。 さて、僕は部屋の窓を開けて快適な空間を手に入れました。 「いい~風だ~」 額から滲み出した汗が風に冷やされ、とても気持ちいい。 「こんな日はアイスなんか食べたくなるよね~」 僕の思考の中にアイスクリームが入り込んでくる。 「やややっ!邪念は振り払え!」 頭の中のアイスクリームは強敵で、僕の頭から出て行こうとはしない。
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