1話 大暑の暮れに

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「よし!アイスクリームを買いに行こう!」 アイスクリーム完全勝利。 僕はアイスクリームに洗脳されるように家を飛び出した。 家の庭には自転車が一台置かれていた。 この小さな島に自転車なんてほとんど必要ないが、家に一台だけあるのだ。 ちなみに家に車はない。 不必要だからである。ほとんどの家にも車はないが、農家には軽トラとかがある家もある。 僕の鷹野家もそうだが、大抵は島の向こう側、つまり船で渡った向こうの陸に敷地を借り、車が置かれている場合が多い。 僕は自転車に乗る。自転車に乗るなんて何年ぶりだろうか。 「よし!レッツアイスクリーム!」 向かうはまこちゃん商店。 まこちゃん商店とは港付近にある八百屋である。 八百屋…というのは少し間違いかもしれない。 八百屋っぽい店だ。 僕は自転車をこいで道を下る。 もちろん僕の家から港まではすべて下り坂だ。
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