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「変わんないなぁこの島も…」
それは二年前、この島を出た時の景色となんら変わってはいなかった。
でも、だからこそ帰ってきた事に強い実感がある。
一人暮らしはなかなか大変だったから、ここに帰ってくる時間もなかった。
「お兄ちゃん!」
遠くで僕に向けて手を振る制服の少女。
少女は僕の方へがむしゃらに駆けてくる。
が、途中で見事に転ぶ。
少女はすぐに立ち上がり、恥ずかしそうな顔を見せ、そしてようやく僕の所までたどり着いた。
「お兄ちゃん!おかえり!」
陰りのない満面の笑みだ。
「未来(みく)、迎えに来てくれたのか?」
「うん!」
「ありがとな。さ、行こう」
「うん!」
僕たちは島の中へと歩いてゆく。
この島は大して大きくない島だ。
西希司島(せいきしじま)。北に山が一つだけある小さな島。
人口は千人程度。それでもちゃんと小、中学校は存在する。
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