1話 大暑の暮れに

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正確には義理の妹。 両親も義理の両親。 僕は本当の両親を知らなかった。 「西希司はなんか変わったことなかったか?」 「えぇ~っと~、まこちゃん商店に新商品ミステリーおむすびが出たよ~」 「………」 「………」 「いや~平和だな~。平和すぎるぜ~」 「うん!平和だよ~!」 僕たちは西希司の中心の通りを上る。 西希司島は中心に向かえば向かうほど高くなってゆく。 多分どこの地域もそうだろうけど、この島は山がある分その傾斜がキツくなってる。 僕達の実家は坂を少し上った場所にある。小中学校のすぐ下だ。 久しぶりの我が家を見て、なんだか異様にテンションが上がる。 「うわぁ!やべーじゃん!帰って来ちゃたよ!」 「お兄ちゃんノリノリだね!」 二階建ての普通の一軒家。俺の育った家。 「ただいま~」 「ただいま~」 同時に家に入り、そして同時にただいま~を言うと、待ちかねたかのように奥から母さんが登場した。
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