1話 大暑の暮れに

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「あら、おかえりなさい!ジュン、久しぶりね~!」 「うん、母さんも元気そうだね」 母さんと会うのも久しぶりだが、家族とはたまに電話したりする。 でもやっぱり電話と実際に会うのは大違いだ。 「さぁ早くあがって!今日の夕飯は母さんが腕によりをかけて作るからね!」 「にゃはは!お母さんファイト~!」 「未来ぅ~?あなたも手伝うのよぉ~」 「ガビーン!」 そんな微笑ましい光景を見てると、思わず僕は吹き出してしまった。 「お兄ちゃん!未来特製の極上お料理を用意してあげるよ~!期待しててね~」 「はは、期待しないで待ってるよ」 「むむ~」 僕は久々の自宅にある自分の部屋に帰ってきた。 二階のいつもの部屋は、僕が出て行った時のままだ。 掃除はされて綺麗になっているが、大きく変化はない。 思わず机の一番下の引き出しを確認してみる。
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