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そこにはいけない本がまだ確かにあった。
「よし!」
何が『よし!』なのか自分でもわからないが、心のどこかで安心した気がする。
窓の外を覗けば西希司の町が一望できた。
とは言っても、民家の数も大したことないので、田舎の風景が見えるだけである。
その奥には海、さらにその先にはほのかに陸地が見える。
「はぁ~やっぱ落ち着くなぁ」
地元が一番、とはよく言ったものだが、今改めて痛感していた。
ベッドに横になり携帯を取り出す。
今日は8月2日
僕がこの島へ帰ってきたのには理由がある。
友人、と言うか西希司出身の幼なじみの電話であった。
久住裕太(くずみゆうた)。
高校に入ってからは全然連絡とかとっていなかった。
だけど夏休みに入った頃、突然裕太から一本の電話が入った。
僕は珍しい友人からの連絡にちょっと嬉しさを覚えた。
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