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ロゼ以外の誰もが、何が起こったか分からなかった。
C・ロゼの正面にいた筈の直道が、今はその背後に立っていた。
一瞬の沈黙の後、直道が刀を納めた時に小気味良いキンッという音が鳴るとC・ロゼは音もなく崩れた。
「瞬灼殺」
直道が小さく呟いた。
「何だと…?」
C・ロゼが痛みに顔を歪ませた。
「瞬灼殺。抜刀時に炎のオーラを足に集束させて踏み込む。炎のオーラのもう一つの能力。それが“ブースト”と呼ばれる超加速。一瞬のスピードなら誰にも負けない。これはそれを取り入れた居合いだ」
直道はC・ロゼを見ず冷たく言い放った。
「ハッ。えらくつれねーな、オイ…」
ロゼの顔がどんどん蒼くなっていく。
「死んでいく奴の顔は見たくないし、会話もしたくない。早く死ね」
直道の語気がさらに強まった。
「それに、こんなところで立ち止まってられない。コピーだか2割強だか知らないが、死ぬわけにはいかない」
最後の言葉を聞くとC・ロゼは静かに笑った。
「じゃあ、な。タノシカッタゼ」
全身の至るところが膨れだし、パンッと音を立てて、C・ロゼは破裂した。
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