理由

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「おぃ、スゲェなアクティ!今のどうなったんだ?」 岩のそばにいたサレナとテインが寄ってきた。 2人は先程の速さに目がついていかず、気がついたら終わっていたので、何があったのか分かっていなかった。 「ミナトさんの攻撃が見えたから、それを止めてカウンターでパンチしたの。もうちょっとで顔に当たりそうだったから、危なかった。」 凄い事を平然と話すアクティの実力がすでに1つ上のレベルだと感じ少し遠くの存在になった気分だったが、とにかくミナトに勝った事に対して祝福し、3人はミナトの後を追って如月荘に歩き始めた。 (なるほど。少しはマシになったみたいだな。) 「えっ!?」 アクティは聞いたような声と、懐かしい気配を感じて突然振り返った。 しかし、目に映ったのは綺麗な夕日が山に消えていく所で何者もいなかった。 「うん?どうしたアクティ。」 振り返ったまま立ち止まっているアクティにサレナが問いかける。 どうやら聞こえたのはアクティだけらしい。 「・・・ううん、何でもないよ。さ、早く帰ってご飯食べよ?」 アクティはニコリと笑って走りだした。 「おっ、おいアクティ!」 「待って下さいよ!!」 サレナ達も急いで後を追う。 一番遅かった者は夕ご飯の片付けと決められているからだ。 もちろん、アクティが走りだしたのはそれが嫌だからではない。 (さっきのはまさか。まさか・・・ね。) アクティは先ほどの感覚に対して、なぜか鼓動が早くなり、身体が妙に緊張するのを感じていた。
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