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――――――
その日の夜。
空は珍しく雲1つ無く、綺麗な満月が月光を放っていて、影がはっきり出来るほど明るかった
辺りは静かで、虫の声やフクロウの鳴き声しか聞こえない。
そんな中、アクティ1人で如月荘の外に出ていた。
「ごめんなさいマナさん。勝手に修行を受けに来たのに、黙って出て行く事になって・・・。でも、確かめたいんです。あれが彼だったのかどうか。・・・ありがとうございました。」
如月荘に深く頭を下げ、外界へ続く森の通り道に向かって歩き出す。
その後ろ姿を、如月荘の2階から見つめる人影があった。
「アクティ殿・・・。」
「やはり、行きましたか。」
始めはミナトだけだったが、いつの間にかマナが隣に立ってアクティを見つめていた。
「マナ殿・・・。知っていたのですか?アクティ殿が出て行く事を。」
「出て行くとは思いませんでしたが、何かしらあるとは思っていました。・・・あの素直な子が黙って出て行くということは、あの子にとってよほど重大な事があるのでしょう。」
「それは・・・まさか。」
「分かりません。ですが、あの子は何かを感じ取ったのでしょう。大丈夫です。あの子達も行ったから心配は無いでしょう。」
マナはアクティが見えなくなるまで見届けると、1階へと下りて行った。
ミナトは最後の言葉の意味が分らなかったが、ハッとしてアクティ達が寝ていた部屋の扉を開いて納得した。
「なるほど。マナ殿は全て分かっていたのだな・・・。3人共、ご無事で。」
ミナトは光り輝く満月を見上げ、祈るように呟いた。
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