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「私はアクティ。後ろにいる目付きの悪い女の子がサレナで、男の子の方がテイン君です。普段は空賊です。便利屋は副業です。」
「・・・はぃ?」
マダムの目は点になった。
空賊と言えば物の強奪や人殺しなどの悪業をやっているというのが一般常識。
このマダムはどうやらラシュビッツが空賊であることを知らなかったようで、こんな反応なのだ。
ラシュビッツは空賊ではあるが悪業を行わない。
むしろ賊を狩る義賊なので怖がる必要はないのだが、サレナはマダムの反応を見てさらに怖がらせたくなったようで、アクティの前に出てマダムを睨んだ。
「おいババァ!ちゃんと報酬払わねぇと痛い目にあわせるから覚悟し・・・。」
「ストップ!紹介は済みました!さ、行きましょう!」
サレナの悪い癖を感じとったテインは話しの途中でマダムとの間に割り込み、強引に2人の背中を押してリグラードから出ていった。
――――――
それから数分後、3人はローレライのブリッジに戻っていた。
「もうっ、アクティさん。僕達が空賊だって事を言っちゃ駄目じゃないですか。空賊ってのは普通、悪い印象しか無いんですから。」
「ごめんなさい。でも、聞かれたから・・・。」
「でもよ!あのババァのすっとんきょうな顔見たか!?思い出しただけで・・・ブハハハハッ!」
素直に謝るアクティに対して、サレナは悪びれもなくお腹を押えて大笑いしている。
「笑いごとじゃありませんよ。」
「別に良いじゃねぇか、本当の事なんだしよ!」
「空賊はまだ良いとして、アンタの言いそうだった事が一番問題だよ!」
「ホッホッホ・・・また喧嘩ですかな?マナ様の所から帰ってきてから、毎日賑やかで良いですなぁ。」
杖をついた老人がほほえみを浮かべて3人の元へ歩み寄ってきた。
ラシュビッツの副リーダーであり、サレナの親代わりであり、ローレライの操縦監督でもある老人、ハクガだった。
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