理由

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「大丈夫か?」 「ハハッ・・・やっぱりミナトさんには適いませんね。ありがとうございます。」 「いえ。貴殿はまだナスカに振り回されていますが、慣れれば拙者と互角に闘えるくらいになりますよ。」 ミナトは嬉しそうにほほえんだ。 彼女は強者と手合わせする事が好きで、かつて世界中を旅していたのは、修行しながら闘う相手を探していたからだった。 残念ながらその時はなかなか好敵手に巡り合えなかったのだが、目の前には好敵手足りえる、教えれば教えた以上に伸びる3人の成長が嬉しくてたまらなかった。 両者は一礼をして、テインは岩へと歩いていく。 「テイン君、惜しかったね。次は私ですっ!」 サレナの隣に座っていたアクティは岩からピョンと飛び降りると、戻ってきたテインの肩をすれ違いざまに軽く叩いて健闘を称え、ミナトの前に歩いてきた。 「お願いします!」 「こちらこそ。」 両者は一礼をしてから構える。 これがアクティにとっての初の模擬戦になる。 「アクティ殿、貴女とは全力でやるようにとマナ様に申し付けられました。覚悟して下さいね。」 「お手やわらかに!」 アクティは如月荘へ来た当初、3人の中で戦闘能力が極端に低かった為、最初の3ヵ月はマナと、数日後に訪れたフェザードに特別なな訓練を受けていた。 それが終わってからというもの、眠っていた潜在能力が覚醒したかのように急激な成長を遂げ、今では3人の中でもっとも強い。 さらに、フェザードの教えで自分のバトルスタンスをも確立していた。 「じゃぁ、いきます!」 ミナトは納刀している刀の柄に手を置き、居合いの構えを見せると、アクティは両手足から炎を発生させた。
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