理由

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「それはフェザード殿が使っていた戦法・・・しかし少し違いますね。」 「はい!フェザードさんに教わって、自分なりに工夫して練習したらこうなりました!」 フェザードの場合、魔力で形成する炎は両手だけだったが、アクティは両手のみならず両足にも炎の塊を発生させている。 アクティのバトルスタンスとは、フェザードの発展型ともいえる、2年前とは真逆の超近接格闘だった。 この状態から繰り出される力は使用者の物理的な力×魔力なので、力の弱いアクティでも底なしの魔力でカバーできるのでうってつけだ。 その反面、維持するのが非常に難しく、相手に接近しなければならないため、相当の訓練と身体能力、そして覚悟がいる。 そのため、通常の修行メニューの他に、マナに言いつけられていた特別なメニューも同時にこなしてきた。 (なるほど。元々の魔力が高いため、その威力も絶大。アクティ殿にピッタリの戦法だ。だが・・・。) ミナトは期待と同時に不安も感じていた。 あまりに強大な力は、時として使用者を呑み込む場合がある。 アクティの高い魔力はこの戦法に合っているが、暴発すれば、そのは高すぎる己の魔力によってその身を焼かれてしまうだろう。 友であり、教え子でもあるアクティのそんな末路を見たくはない。 本当はやめさせるべきではないのか? そんな不安が渦巻くのだ。 だが、ふと気がつくと、アクティは揺るがない真直ぐな目で、動かないミナトをジッと見ていた。 (フッ・・・拙者の取り越し苦労か。) ミナトは改めて構え直した。 「拙者は全力でいく。アクティ殿も、全力で参られよ!」 「はいっ!」 「では、行くぞ!」 次の瞬間、2人は瞬動でその場から消え、広場には剣と魔力がぶつかりあう残像と音だけが激しく鳴り響いていた。
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