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ここはバルシナ軍の医務室。
そこのいくつかある個室のなかの1番奧に彼女はいた。
傷は完全に癒えて動けるはずであるのに布団を頭まで被って起きる様子はない。
“コンコン・・・”
しばらくすると扉からノック音が響いた。
鍵がかけてあるのに彼女は聞こえていないかのように動こうとしない。
“コンコン・・・!”
しつこい見舞い客なのかノックは止まるどころか次第に激しさを増していく。
「・・・・・!?」
“ドンッ!!!”
そして、扉の向こうで複数の何者かが言い争う声が聞こえたかと思えば、鍵つきの扉が強引に“蹴り開かれた”。
「アクティ!!!」
「サレナさん!!!」
「お静かに!!!」
犯人はサレナだった。
入ってくるなり大声で叫ぶ。
それをテインが大声で注意し、医療班の女性が2人を大声で注意した。
「すいません、静かにさせますから・・・。」
テインの必死の謝罪と説得のおかげで強制退去はなんとか免れ、2人はベッドの前に立った。
「アクティ、いつまでそうにしてんだ?」
「そうですよ。皆さんが・・・ウェイさんが待ってますよ?それに、せっかくレガル様とファンク様が繋いでくださった命ですし・・・。」
寝ていたのはアクティだった。
アクティがなぜ死んでいないのか?
それはテインの話しにでたレガルとファンクのおかげだった。
~1週間前~
「血圧・脈拍が共に下がっています!このままでは・・・!」
「くっ、なんだこの症状は!打つ手がない!」
バルシナ軍の医療班長は運ばれてきたアクティの担当をしていたが、薬、治癒魔法など考えうる全ての技術と方法をもってしてもアクティの状態は悪化するばかりだった。
それもそのはず。
フェニシゼイションは人智を越えた力の変わりに命を奪う魔法で対処法などない。
それが、禁術たる所以なのだ。
人の命を助ける事を誇りとする者の目の前で無情にもアクティの心臓はさらに弱っていく。
その時だった。
アクティの胸がいきなり激しい光を放ち、そこから一組の男女が現れた。
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