678人が本棚に入れています
本棚に追加
「送って行かなくて良かったのですか?」
2人の後ろ姿をじっと見つめていたウェイにリロは聞いた。
「あぁ。本当はアークのタードロードまで送るつもりだったが、丁重に断られた。」
「なぜです?」
「さぁ?別れがつらくなるからとか言ってたが、そこまで接点なかったはずなんだけどな。」
それを聞いてリロはピンと来ていた。
おそらくその話をしたのはアルカリスとだろうが、別れがつらいと感じていたのはミーシアだろう。
相変わらずそっち方面に鈍感なウェイは気が付いていないが、本来の内気な性格に戻ったミーシアは自分では言いだせずにアルカリスに頼んだのだろう。
ネクサスの影響で性格こそ変わっていたが、ウェイを好きな気持ちは本物だったのだから。
「本当に・・・罪なお方だ。」
「あぁ?なんか言ったか?」
「いえ、なにも。」
ウェイは不思議そうにリロを眺めていた。
「それより、ウェイ様はアクティ様とお会いにならないのですか?私を脅してまで居場所を聞き出したのに・・・。」
「お前もなかなか根に持つタイプだな。」
ウェイは少し意外そうに驚き、そして窓から空を眺めた。
「会い行ったさ。けど、『今は会いたくない。』って言ってたんだよ。だから、今は良い。」
「・・・・。」
「危険な場所に行ってるわけじゃない。命の危険があるわけでもない。気持ちの整理がついたら、自分から会いにくると信じてる。それまで待つさ。」
アクティがそうだったように、ウェイもまたアクティを心底信じていた。
いや、3年という長い時間を待ち続けたアクティよりもずっとその思いは強いかもしれない。
リロだけでなく、ブリッジにいた全ての者が変わらないウェイの心の強さを感じとり、安心していた。
最初のコメントを投稿しよう!