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「さてと・・・。」
ウェイは振り返り周りを見渡した。
「とりあえずみんないるな。ちょっと話が・・・。」
“ウィィン・・・”
ウェイが切りだそうとした時、ブリッジの自動扉が開いた。
そこにはサレナ、テイン、そして黒いコートを来て顔を隠すように深々とフードを被った人物が立っていた。
「・・・?」
「遅かったなアクティ、もう良いのか?」
周りの者達は誰だか分からずに一瞬戸惑ったが、ウェイは間髪入れずにコートの人物に声をかけた。
「ウェイさん、アクティさんから話があります。」
「・・・?」
「ほら、アクティ。」
ウェイは首を傾げる。
アクティはサレナが背中を優しく押すと戸惑うようにゆっくりと歩きだし、ウェイから少し離れた場所で立ち止まった。
「・・・話ってなんだ?」
「・・・。」
アクティは黙った。
しかし、ウェイは急かす様子もなく一度聞いただけで何も言わず、じっと目の前の人物の顔の部分を見つめている。
「・・・私・・。」
「ん?」
「私は・・・。」
「・・・・・。」
「私は・・・1人で人のいないどこかに行きます。」
ブリッジの中は騒つく。
サレナとテインは悔しく悲しそうに歯を食い縛った。
「なぜです!?あれほどまでにウェイ様といるのを望んで・・・。」
驚いて問い詰めようとしたリロをウェイは制止させた。
「なんでだ?」
「私は・・・もう・・・・・。」
声が震えている。
そして、フードの隙間から見える微かな頬に一滴の涙が流れたのが見えた。
「ダンナッ!」
それを見ていられなくなったのか、突然サレナが声を上げてアクティの真横に駆け寄った。
「ダンナ・・アクティは・・・アクティはさぁ・・・。もう・・・戦えないんだよ。」
「・・・どういうことだ?」
「それは私から説明しましょう。」
突然ブリッジに声が響き渡り、モニターに女性の姿が映しだされた。
「あんたは・・・。」
「お師匠様・・・。」
女性の正体はロザリアだった。
モニターを操作するコンピュータにはいつのまにかルイが座っていた。
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