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「まずはお疲れ様と言わせてください。ディレファインでの出来事は水晶を通して全て見ていました。よく、彼を討ち果たしましたね。」
「あぁ。でも今回はみんなのおかげだ。俺1人でも、アクティ1人でも倒せなかった。」
「えぇ。彼は1人ゆえに強く、1人ゆえに敗北しました。ですがこれで彼も、積年の呪縛からようやく解放されました。本当に・・・ありがとうございました。」
「・・・?」
ウェイは違和感を感じた。
当然ロザリアは昔からネクサスを知っていただろう。
しかしただ知っていただけとは思えないような悲しそうに表情と気持ちのこもったお礼。
もしかしたから、ロザリアとネクサスの間には何かがあったのかもしれない。
感の鋭いウェイは一瞬であらゆる可能性を考えたが、あえて何も言わなかった。
「まぁ、礼はいい。それよりアクティのことを教えてくれ。なにがあったんだ?」
ウェイの問いにロザリアはとても悲しそうに表情をして話し始めた。
禁術フェニシゼイションのこと。
なぜその力を手に入れたのか。
効果と代償。
そして、今の状況。
ウェイは冷静に、ずっと黙ってロザリアの話しを聞いていた。
「・・・ということです。」
「つまり、戦えない俺の代わりに禁術を使って戦い、レガルソードの意思と天精がアクティの命を繋いでくれたって事か・・・。」
「はい。」
「ばかやろう!他にも良い方法があっただろう!なんでも自分で背負い込みやがって・・・。」
ウェイは始めてアクティを怒鳴った。
今よく考えれば、確かに他に良い手などいくらでも浮かぶ。
ウェイは自分の為に犠牲になろうとしたアクティにも、それを止められなかった夜叉やロザリアにも頭にきていた。
アクティはただ黙って服の裾をギュッと握ってうつむいていた。
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