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しばらくしてアクティが落ち着くと2人は少し離れて見つめ合い、周りを見渡した。
「俺達が再び会えたのはみんなのおかげだ・・・本当、ありがとう。」
「ありがとうございます。」
深々と頭を下げてお礼を言う。
その姿に照れる者もいればどうだと言いたげにふんぞり返っている者もいる。
「頭をあげて下さい。2人がそうしてもう一度会えたのはきっと運命だったんです。」
その言葉に2人が頭を上げると、リオンが目の前にいた。
リオンは2人の手を持って合わせるとギュッと握りしめた。
「ウェイくん、もう離しては駄目ですよ?アクティさんを悲しませるような事も控えるように。」
「あぁ、分かってる。」
「アクティさん・・・困ったときはいつでも僕達を頼ってください。力になります。・・・ウェイくんをお願いします。」
「はい!」
アクティの元気の良い返事を聞いたリオンは安心した様に微笑み、ウェイを見て頷くと元いた位置に戻った。
そしてウェイが少し前に出た。
「さてと・・・とりあえず話は終わったし、俺から伝えたい事がある。」
ウェイが真剣な表情で改まるとその場にいた全員が息を呑む。
「せっかく帰ってきたんだが、俺は・・・バルシナ軍を抜けるよ。」
「なっ!?」
オレンやサレナ、テイン達は驚きのあまり声に出してしまったが、夜叉やリロなどのウェイの幼なじみやリルーシャ以外のブリッジクルーはあまり反応しなかった。
「どっ、どうして!?」
サレナ、テイン、オレンが口を揃えて聞くと、ウェイは少し寂しそうに自分の手を見つめた。
「今回は変化しても死ななかった・・・だが、たぶん次はない。もう一度でも変化すれば、この身体がどうなるか分からない。だが確実に何かが起きる。そんな気がするんだ。」
「・・・。」
“何かが起きる。”
それは今までに感じた事のない恐怖感をウェイに与えていた。
もともと竜神化だけでも負荷がかかるのに、それに重ねて妖魔と六聖神という相反する存在の力を合わせて使っていたのだから身体にかかっていた負荷は想像を絶する。
もう身体が保たない事をウェイは直感で悟ったのだった。
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