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「うん!なら、僕行くね。支度しないと!それじゃぁ・・・またね!」
オレンは涙を溜めた瞳のままゆっくりと後退りし、溢れだした瞬間に反転してブリッジから走って出て行った。
二人はそれを微笑ましそうに見送ると、まだ残っていたヴェグナの方を向いた。
「・・・だそうだ。あいつを頼めるか?」
「ふん・・・里に子供が1人増えたところで何も変わりはせん。お前は何の心配もせずに隠居してろ。」
もたれかかっていた壁から離れるとオレンの後を追うようにブリッジの扉に向かって歩いていく。
「ヴェグナさん。」
アクティが呼ぶとヴェグナは歩みを止めて振り返った。
「・・・なんだ?」
「あの、本当にありがとうございました。今こうしてウェイくんが帰ってきたのはヴェグナさんのおかげです。あの時、私の覚悟を試してくれて、しかも秘めていた力も強引に引きださせてくれて・・・。あ、オレンはあんまりいじめないであげて下さいね?」
その言葉を聞いてヴェグナはジッとアクティを見つめ、何かを言おうとしたが寸前で止め、そしてフッと笑った。
「・・・幸せになりな。」
そう小さく呟いたヴェグナは嬉しそうにも寂しそうにもとれる笑みを見せ、静かにブリッジから出て行った。
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