第1章 別れの雪

3/7
20人が本棚に入れています
本棚に追加
/134ページ
妹の麻衣は1年前の夏、交通事故で下半身不随となり入退院を繰り返していましたが、ここ数ヶ月は体調が優れず、病院で過ごすことが多くなっていました。 麻衣は、身長が私と同じ160センチくらいで、少し痩せ型のスラッとした感じの女の子です。 顔は、たぶん父親に似たのだと思いますが、細面で目がクリッとした目鼻立ちの整ったかわいい系です。 髪はロングでストレートの綺麗な黒髪で、見るからにお嬢さんといった雰囲気でした。 反面、私はどちらかというと母親似で、髪はショートカットにしていて、少しボーイッシュな感じです。 母の恵子は、父が他界してから、麻衣と私を女手ひとつで育ててくれている、とてもパワーのある人です。 妹と私はとても仲が良く、これまで喧嘩らしい喧嘩をしたことがありませんでした。 入院中の麻衣の容体が急変するという連絡は、今までにも何度かありました。 その都度、私は病院に駆けつけましたが、その時は大事にならずにすみました。 母は、私が大学にいるときは、講義を受講中であることに気を使って、このような緊急の場合でも、携帯電話にメールを送ってくれるようになりました。 私は、いつでも気付けるように携帯電話を上着の内ポケットに入れ、着信音が鳴らないマナーモードにしていました。 この日も携帯電話のバイブレーターの振動で、緊急のメールに気が付きました。
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!