序章 ~翼~
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――私はなんなのだろうか。 いっぺんの雑草にすら見捨てられた荒野を、けたたましいエンジン音で切り裂きながら、迷うことなく爆進する。 ――私は……。 そんな得体の知れないものを掴むようなことを考えるのは、きっと、この道が寂し過ぎるだけ。 茶色で、ぱさぱさして、無機質で。何もない。何も。 ――何のために……。 私の愛機は、やがて蜃気楼の果てに、一つの寂しい村を見つける。
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