封印の使い魔

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  いきなりの衝撃に、アルは腰を抜かして座り込んだ。 僅かに感じるのみだった、空間を流れる力は、今は突風となり、机の周りに積み重ねられていた本を次々と吹き飛ばす。 その内の一冊『ある社長の自伝~俺のロード~』と表紙に書かれた本が、一際高く宙を舞い、突風でページをバラバラにちぎれさせ、次々と天井に貼り付いていく。 即ち、粉砕、玉砕、大喝采だ。 そして、その天井に貼り付いた紙片が集まり、段々と何かを形作っていく。 どうやら文字のようであった。 アルが息を呑んで見守る中、やがて天井には一つの意味のある文が出来上がった。 『ナ、ラ、ベ、ン、ノ、ヨ! カ、ス!』 「カ、カス!?」 どうやら、二冊の本は重ねるのではなく、並べて欲しかったらしい。 非常に具体的な指示を受けたアルは、少し涙目になりながらも、二冊の本を机に並べた。 パアァァァァァァ…… その瞬間、二冊の本がまばゆい光を放ち、アルを包み込む。 刹那、今まで意味の通らなかった文字の一つ一つが意味を持ってアルの視界に映る。 理解したというよりは、流れ込んでくる感覚。 光の中で、アルは自然とその名を口にしていた。 「喪……失の魔……姫、シェ……リス・エクリ……プス・ディス……ぺラード……」 ジャーン! ジャーン! アルがその名を呼び終えた瞬間、なにやら演出感たっぷりの、ド派手な効果音が倉庫中に鳴り響き、アルの目の前に一人の少女が姿を現した。 全裸で。  
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