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(NO SIDE)
完全に日が沈み、暗くなった海岸沿いをゆっくりと歩く影がひとつ。
?「……やっぱり、来てたんだ」
そこにもうひとつの影が近付く。
歩みを止めた影は、ゆっくりと振り返る。
?「…あれ?あの子たちと帰ったんじゃなかったの?」
?「ユキが近くにいるって、感じたから」
?「さすがはボクの片割れだね」
すごいね、と影……ユキはクスクスと笑う。
その姿を見ながらもうひとつの影は少し躊躇いがちに口を開いた。
?「今日ここに来たのはやっぱり……」
?「うん、あの人の大切な子を見に来たの」
絵顔のままそう言うユキを見てやっぱり、と影は心の中で呟く。
?「ねぇ、キィちゃん。キィちゃんはボクの味方だよね」
影……キィが少しの間を開けてからうん、と肯定する。
?「ふふっ、じゃあ今から言うボクのお願い聞いてくれるよね」
?「……なに?」
パッと振り返ったユキの顔は、辺りが暗すぎたため見えなかった。
?「あの子、消そうと思うの」
日の沈んだ海岸で、楽しそうに言われた言葉が。
キィの心に重く突き刺さった。
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