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ヨロヨロと前を歩く二人に、俺は呆れた声をかけた。
サ「む、馬鹿とはなんですか。漢たるもの、頑丈な精神であるために鍛えるのは当然のことでしょうが」
ロ「はっ、何が頑丈な精神だ。泣き叫んで最後は俺に抱き着いてたクセに」
サ「う…うるさいですよ!誰かさんみたいに化物精神じゃないんですっ、僕は!」
化け物精神って…、酷くね?
俺にだって苦手なもんくらいあるぞ。
プリプリと怒りながら飲み物買ってきます!と売店の方へ歩いていくサイを見て、思わずため息。
隣を見れば、いまだ青白い顔でゲッソリしてる叶琉が、覚束ない足取りで歩いている。
ロ「おいおい大丈夫かよ?今にも倒れそうじゃねぇか」
叶「だい……じょぶ、です…」
全然大丈夫には見えんが。
見た目からして頼りなさそうだとは思ってたが、ここまで弱々しくなるとは。
サイのやつ、後で闇の天使に殺されっぞ。
ロ「ムリすんなよ?ヤバくなったら言え、な?」
背中をぽんぽんと叩いてやれば、一瞬キョトンとした顔になった。
けれどすぐに笑顔に変わる。
叶「ありがとうございます」
ロ「おう。つーか別にサイのテンションに付き合わなくていいからな?アイツは一人で勝手に盛り上がったり盛り下がったりする変なヤツだから」
サ「ちょっと、誰が変なヤツですって?」
表情が柔らかくなってきた叶琉と話していたら、両手に飲み物を持ったサイが不機嫌丸出しで会話に入ってきた。
ロ「おう、早かったな…って、こんな時間じゃ売店も空いてるか」
サ「話逸らさないでくれます?」
ロ「んだよ、一々怒んなって。冗談じゃねぇか」
サ「まったく…。……ちょっとキミ、はいコレ」
冷めた目で俺を睨んだ後、サイは持っていた片方の飲み物を叶琉に渡した。
叶「…えっ?」
サ「喉カラカラでしょ?飲みなよ」
そう素っ気なく言って自分の分を飲むサイに、叶琉が戸惑っているのが見て取れた。
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