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それからもアトラクションを2、3個乗りまわった。
夕方ってのもあったし、パレードや何やで人通りも少なくなってきていたから並ばなくてもすぐに乗り物に乗れた。
全部のアトラクションの乗車時間合計しても、5分ちょいしか経ってねぇし。
何故か絶叫系ばっかに走るサイに引きずられ、叶琉はヘロヘロになり、俺は苦笑いしていた。
そうしてサイが次はアレです!とスーパーコブラとかいうジェットコースターに指を差し、強制連行されそうになった時、俺の携帯が鳴った。
――― キラッ!流星にまったーがって アナタに急降下ぁーァッァ 濃紺の星ー空に 私達ー花火ーみたい…
最近話題になったSFアニメの可愛いキャラソンが、その場に流れる。
ロ「……」
サ「……」
ロ「……悪かったな、アニソンで」
サイよ、そんな気持ち悪いと、人間性を疑っているような目で見るな。
己の容姿に似合ってない選曲だっつーのは、百も承知だ。
サ「……この、キモオタが」
叶「…えと、携帯…鳴ってます…よ? あ…あと、ランカちゃん、僕も好き…ですし」
叶琉の天使のような優しい言葉が、俺の心に深く染み込んだ。
あぁ、こんな素晴らしい弟が欲しいもんだ。
サイなんか見てみろ。
人を汚物でも見るかのような瞳で見てくるうえに、えげつないことを言ってきやがる。
世界中のオタクの皆様に謝れっ。
オタク達ってスゲーんだぞ!
レアグッズに対する情熱や、タイピングの速さ舐めんなよっ?
っつーか、そもそも俺オタクじゃねぇし!
ちぃとばかしアニメが好きなだけだっつの!
――― 消粒のいっのーちでも 私達ー瞬ーいてるー…
おっとヤベ、出るの忘れてた。
ロ「あ?」
通話ボタンを押して電話に出ると、サイがその出方やめなさいって言ってるでしょ!とかほざき出したが、無視だ無視。
?『あ、ロウさんですか?』
通話に出た相手は、ロウの電話の出方に文句を言うどころか、普通に返してきた。
ロ「あぁ、お前か」
隣にいるサイに目で合図すれば、相手も意図を理解したらしく頷き、上手いこと近くの売店へ叶琉を連れて行ってくれた。
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