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別に聞かれて困る会話をする相手じゃねぇけど、一応、な。
んで、サイのヤツも普段からああ素直だったらいいのになぁとか思いボヤきつつ、意識を電話に戻す。
ロ「お前が電話寄越したってことは、もう用は済んだのか?」
?『あ…いえ、まだなんですけど、そろそろ終わりそうなんで彼を例の場所へ向かわせてほしいんです』
ロ「ははっ、今回も勧誘失敗か。相変わらずシンも甘いよなぁ」
やれやれ、と苦笑していれば、相手の声のトーンが下がった。
?『…皆さんには大変ご迷惑をおかけしてます。本当にすみません』
ロ「こらこら、いつも言ってんだろ?お前が謝る必要ねぇって。俺たちは好きでアイツの下にいんだからよ」
?『けど…』
ロ「けどもでももそれでもも一切受付してねぇの。またサイに説教されたくなきゃもう言うな、な?」
相手には見えないだろうが、ニカッと効果音付きの笑顔でそう言えば、少しの間の後に小さく聞こえた礼の言葉。
おう、素直でよろしい。
ロ「で、もうそこに向かわせりゃいいのか?」
?『今どこですか?』
ロ「あのクソでけぇ水族館の隣のクソでけぇ遊園地」
?『なら大丈夫だと思います。向かわせて下さい』
ロ「了解。じゃあな」
パタンと携帯を閉じて電話終了。
ロ「…ま、叶琉がいる限り、俺たちのやってることは無駄なのかもな」
苦笑して、もうすぐ若干肩を落とし膨れっ面で帰ってくる俺たちの主の姿を思い描きながら、叶琉たちの向かった売店の方へ歩き出した。
サ「あ、ロウ!これどっちの色が叶琉に似合うと思いますか?」
売店に着くなり、何やらサイが色違いのキーホルダーを両手に持って話し掛けてきた。
叶「サ…サイさんっ、そんな、僕…いいですから…っ」
サ「おだまり。人の好意は素直に受け取りなさい」
ロ「お前がそれを言うか?」
色云々の前に素直にそう言えば、お前もおだまりっ!と平手を貰った。
何故に?
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