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叩かれた場所を撫でながらオレンジだと答えたら、ですよね!と上機嫌にレジへ走って行った。
水色も捨て難かったが、何かポヤンとふわふわしてそうなとこがオレンジっぽいからな、叶琉は。
ささっと会計を済ませて帰ってきたサイが、ラッピングされた小袋を叶琉に渡した。
マジでどうしたお前。
珍しいにも程があるぞ。
サ「はい、コレ!」
叶「う…えっ、あのっ…」
ロ「貰ってやれよ。サイがお前に買ったんだからよ」
オロオロと戸惑う叶琉に笑顔でそう促してやれば、渋々と小袋を受け取った。
叶「あの、サイさんっ、あ…ありがとうございます!」
サ「ふ…ふんっ、大切にしてくださいよねっ」
叶「はいっ、大切にします!」
なんだろな……ものすっごく和むわ、コイツら。
ロ「あー…仲良くしてるとこ悪いが、時間だサイ」
この和やかな雰囲気を壊すのには気が引けたが、時間なものは仕方がない。
不満タラタラ文句ブーブーと煩いサイは無視して叶琉に話し掛ける。
ロ「なぁ叶琉、海見に行こうぜ」
叶「海…ですか?」
ロ「おう、俺たち用事が出来ちまってな。だから最後に夕日が沈む瞬間でも見てお開きにしよーぜ?」
叶「僕は構いませんけど、ロウさんたち…お時間大丈夫ですか?」
ロ「ヘーキヘーキ、叶琉はいいヤツだなぁ。マジ弟に欲しい」
叶「へっ…えっ?」
サ「この変態オタクっ、叶琉から離れて下さい!」
叶琉の頭に頬擦りしていたら、サイが横っ腹に蹴りを入れてきた。
しかも跳び蹴り。
ロ「いってぇなっ、オイ!」
サ「この子に変態が移ったらどうするんですか」
ロ「んなわけあるか!」
サ「近付かないで下さい。さ、あんなの放っておいて行きましょう」
叶「うぇっ…あ、えぇ…っ?」
人をばい菌扱いしたまま、サイはうろたえる叶琉を連れて先に行ってしまった。
蹴られた衝撃でうずくまっていた俺は、ユラリと立ち上がり………クスリと笑った。
ロ「……マジ後で躾直さねぇとなぁ?」
俺がそう囁いた時、店員含め売店にいた客全員が動きを止め、顔を真っ青にしていたとか。
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