13456人が本棚に入れています
本棚に追加
遊園地から少し歩いた場所にある、一般人にも開放された海岸。
明るい時には人で賑わうこの海岸も、こんな時間とあってか僕たち以外には清掃?の人が数人いる程度だった。
昼間太陽の光を浴びて熱くなった砂浜に足を踏み入れると、まだ微かに残る暖かさが靴越しにじんわりと伝わってくる。
それと夕陽は落ちてないのに暗くなりつつある海の波音が、妙に僕の心を落ち着かせた。
ロウさんたちに遊びに連れ出して貰って気を紛れさせてたけど、やっぱり癒多のことが気になって仕方ない。
…どうしてもずっと、胸のモヤモヤが消えないんだ。
ロ「なーに考えてんだ?」
サ「ちんちくりんな顔が、更にちんちくりんになってますよ?」
ぼーっと立ったまま海を眺めていたら、さっきまで口喧嘩していたロウさんとサイさんが僕を覗き込んできた。
叶「あ…いえ、…別に」
ロ「悩み事か?」
叶「………え?」
サ「顔に悩んでますって書いてますよ」
ロ「書いてはねぇけど、時折上の空ですって顔になってるからな」
そっぽを向いて言うサイさんに、苦笑しながら言うロウさん。
ロ「話くらいなら聞いてやれるぞ?」
叶「ロウさん…」
ダメだな、僕。
今日会って間もない人に気を使わせたり心配してもらったり…。
弘也属性だからかな、ロウさんと話してるとなんか気が抜けるっていうか、すぐ弱気なところを出してしまう。
僕ってとことん弘也タイプには弱いんだよなぁ。
…でも。
叶「…ありがとうございます。けど、大丈夫です」
これは自分の気持ちの問題だから、自分で解決しなくちゃいけないと思うんだ。
ロ「…そうか?あんま溜め込むなよ」
深く追求せずニッと笑って肩を叩いてくるロウさんに、僕はもう一度お礼を言った。
最初のコメントを投稿しよう!