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その後すぐ携帯に電話が掛かってきて、帰りたくないと駄々をこねるサイさんを引きずってロウさん達は慌ただしく帰って行った。
ロ『じゃあまたな、叶琉』
サ『ちゃんとメール返して下さいね!絶対ですよ!!』
最後にそう言い残して。
ふと思ったこと。
叶「うーん、どうやって帰ろっかな……?」
あ、すみません。
声に出してました。
ふむ、なんだろう?
やっと僕のターンが帰ってきたような気分(笑)
いやだって現実問題だし、それにここ数ページ緊張とか色々あってずっと説明口調ってゆか、僕としては文章が堅かったんだよ!
短い時間しか経ってないのに、物凄く濃かった気がするし。
まぁ濃いと言えば、今日事態がかなり濃いんだけども。
叶「……初めてのデート、だったからなぁ」
そう、僕にとっては今日が生まれて初めてのデートだったんだよ。
まさか男の人とするとは、夢にも思ってなかったけども。
でも、そんなことが気にならないくらい楽しかったのは事実で。
最後は何だか悲しい?終わり方しちゃったけど……。
叶「………」
またしても癒多の後ろ姿を思い出し、顔を俯けてしまった。
途端、心の奥から沸き上がる何ともいえない気持ち。
叫び出したくなるような、泣きたくなるような、怒りだしたくなるような……そんな感じのものがもやもやと混ざった気持ち。
なんでかな…、あの時の癒多のこと考えると、すんごく胸が痛いんだ。
その時。
癒「…………カナ…!」
今まさに頭の中で想い描いていた人の、僕を呼ぶ声が聞こえた。
叶「………え…」
振り返ると、こっちに全速力っぽいスピードで走ってくる癒多が目に入る。
癒「……っは、…っと…見つ、けた…っ」
驚愕して声も出せないでいる僕の目の前で止まった癒多が、珍しく息切れしながらそう呟いた。
え、なんで…どゆこと?
なんで癒多がここに?
どっかに行ったんじゃ………あれ、ホント待ってわかんない。
ただいま頭の中がごちゃごちゃ中。
しばらくお待ち下さい。←
癒「……海岸って…、どんだけ、広いと…思って、んだ……アイツ…」
叶「……へ?」
頭の中でハテナをグルグル回してたら、癒多が途切れ途切れに何か喋ってた。
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