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僕が目を見開いたのを見た癒多は、真剣な表情をふと崩し、
癒「…そして、俺の全てはお前のモノだ」
物凄く綺麗な笑顔でそうおっしゃられた。
ど…どうしよう。
ドキドキし過ぎて心臓がヤバい。
前に同じことを言われた時は意味が飲み込めなくて雰囲気に流されてたけど、今は…なんか違う。
胸がきゅうぅってなって、ものすごく……ものすごく嬉しいって感じるんだ。
癒「…っ、カ…ナ…?」
癒多の笑顔と言葉に舞い上がってたんだと思う。
気付いたら僕の手は癒多の背中にまわして、顔を目の前にある広い胸に押し付けていた。
癒「…カナ、どうした?」
カナ「……いで」
癒「なに…」
カナ「どこにも、行かないで」
いつの間にこの人は僕の中でこんなにも大きな存在になっていたんだろう。
凄くワガママかもしれないけど、このぬくもりを…この人を誰にもとられたくないと思った。
叶「…僕、なんかでよければ…あげます…」
癒「!」
叶「だから……」
癒多みたいにまだ好きとは言えないけど。
隣に立つのには相応しくないかもしれないけど。
叶「…貴方も、僕だけのもので…いてください…」
癒多が特別で、今はもうなくてはならない存在だってことは断言出来るから。
癒「………あぁ。泣いて嫌がっても離れねぇし、絶対ぇ離さねぇ」
少しの間のあと、吐息のように囁いて癒多もまた僕を抱き締めてくれた。
その言葉が嬉しくて、癒多の背中に回した腕に更に力を込める。
そうして僕たちは夕日が完全に落ちて辺りが真っ暗になるまで抱き締めあっていたのだった。
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