物憂い気分にブルーを1滴

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真っ白なシーツに幾筋もの乱れた皺。 聞こえるのは互いの吐息だけ。 不意に髪を梳いていた手が離され、少し物足りなくなる。 僅かな明かりと共に香り出すのはセブンスター。 煙草を吸わない私が唯一好きな香り。 ――彼の香りだから。 ぼんやりとした橙の光に照らされる彼の横顔が、綺麗。 朧気に漂う哀愁。 今、何を考えているの? 誰を想っているの? そんなことを思っても、口に出してはいけない。 そんなこと、分かってる。 分かりきってる。 思いを打ち消すために、寝返りをうって彼を見ないようにした。 ジュ、と火種を消した音を背中で聞いた。 「シャワー浴びてくる。少し寝ててもいいよ」 優しい声、気遣いに目を閉じた。 戯れの情事の後のべとつきが気になる。 清潔で、でも無機質なシーツに包まれて丸くなる。 ベッドから出た彼の温もりが薄れていく。 シャワーの音さえなければ、この世にひとり、残された気分になる。 近づいてくるスリッパの音に、ひどく安心して。 「ルカ、起きてるの?シャワー浴びておいで」 彼の声にゆるゆると起き上がり、振り向いて笑顔を見せた。
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