バイオレットの憂鬱

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中に入ると、白を基調とした内装に、高級そうなインテリア、テーブルセット。雑誌に取り上げられるだけあって、すごく素敵。 「いらっしゃいませ。2名様でよろしいですか」 30代後半と思われるウエイターに尋ねられ、彼が軽く頷く。それを確認し案内されたテーブルに着く。 わ、椅子引いてくれた。 内心ドキドキしながら、冷静を装って椅子に掛ける。 彼の前では冷静な自分でいたいのだ。 「ワインも頼んでいい?」 メニューを見ながら彼が尋ねてくる。 「どうぞ。お付き合い出来ないのが残念ですけど」 私の答えに彼は首を振った。 「謝るのは俺の方だよ。いつも運転任せてごめんね」 本気でそう思ってるのかはかなり疑問だけれど。 「藤原さんのお酒好きは今に始まった事では無いでしょう?」 彼はその言葉に笑う。本当に楽しそう。 ウエイターに私の分のラザニアと彼の分のグラタン、赤ワインを頼んでしばらく話す。仕事の事や、プライベートの事。 「あのプロジェクトね。年齢的に課長がリーダーになったけど、あの課長には無理だと思うな」 なんて、社内では言えないような事まで話してくれた。
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