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帰路を駆けるレイヤはとてもウキウキしていた。
今日は月に一度、大好きな父が帰ってくる日。レイヤの父は遠くの街に出稼ぎに出ていてなかなか帰って来れないのだ。
[まず、おとうさんに学校の話して、一緒にお風呂入って、ゲームして、それから……]
父にめいいっぱい甘える算段を立てながら路地を駆けるレイヤ。
だからであろう、横道から出てきた人影に気づかず、そのまま衝突して倒れてしまった。
「うわっ!!」
「大丈夫か、坊主?そんなに急いじゃ危ないぜ」
優しい言葉と差し出された手。
「うん、ありがとうおじちゃん」
レイヤがその手を取って立ち上がると、そこにはあの男。
男は不気味に光る赤い十字の目をレイヤの目に合わせて呟いた。
「おじちゃんその目…」
「おじちゃんじゃない。おにいさんだよ…眠れ『アスリープ』」
レイヤの意識はここで途切れた…
この出来事から十年後、物語は始まる。
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