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先ほど聞こえてきた不思議な声。
破滅魔法が発動した直後…僕はどこかに飛ばされたようだ。
狂った母と父の姿はなくディルシルア家の中でもないのがわかった。
真っ暗な空間。
―コッチダヨ
僕をここに飛ばした声が暗闇の中で響いた。
目が慣れてきたころに暗闇の奥に一枚の扉が浮き出されていて光がその扉の奥からもれていた。
「扉?」
遠くからでは分からなかったが近づくと扉にはこまやかな装飾がされていて重みのある扉だった。
―アケテ、ハイッテオイデ…
キィィィ――…
扉を開くとそこは一面真っ白でピカピカと白が白に反射してすごくまぶしい場所だった。
「いらっしゃい、シェル」
光の中から優しい声が響いた。
徐々に白の中から現われたのは白い服を身にまとった白髪の女性だった。
「誰…」
白いその女性はにっこりとほほ笑みながらシェルの前までくると小さな体を抱きしめながら「お帰りなさい」と抱きしめた。
不思議といやな感じはしなかった。それどころか、昔のお母様のように暖かく心地よくなりそのまま眠ってしまった。
「いきなり魔力が体ん中にすべて帰ってきたんだ、そりゃねむくなるよね~」
「シェル、大きくなった…けどまだ小さい…」
「早く覚醒してもらわねーと俺たちだって退屈だ。」
「ふふ…今は寝かせてあげましょう」
6,7人の声が白の中に集まってきた。
その声はみなどこまでも慈悲に満ちていてシェルを見守った。
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