第1話:憑依とTS?

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 目が覚めた。  パチパチと瞬きをして、未だに虚ろな瞳で見上げていた部分に呟く。 「知らない天井だ……」  というより、寧ろ天蓋?  ボーッと天蓋を見つめて呟いた瞬間…… 「って、何処だ此処は?」  完全に頭が覚醒して少年は慌てて叫んだ。  周りを見回せば、明らかに知らない天井処か知らない部屋であり、豪奢な天蓋付きのベッドに寝ていて、おまけにレースのカーテンが掛かる窓に、美しい色彩の白い壁。  まるでテレビでしか見る事のないお姫様が住んでいそうな、此処はそんなファンシーな部屋であった。  昨夜、自分は確かに普通の部屋に寝た筈だ。  いつもと同じ日を過ごしたし、いつもと変わらない時間を過ごし、いつもの様に就寝。  退屈な日常、鬱屈したくなるくらい代わり映えしない世界。  それが、一夜にして大きな変化を見せれば驚く以外にあるまい。 「何がどうなってんだ?」  混乱はするが、取り敢えず足や手首を見てみたら、特に鎖なんかに繋がれている様子も無い。 「誘拐って訳でもないか。まあ、俺を浚った処で身代金なんて取れないけど」  普通な家庭だし、一億円なんて要求されたとして、逆さに振っても出てこないだろうし、無い袖は振れないという訳だ。 「うん? 俺が着てるの、キャミソールの上にネグリジェ……」  少年はれっきとした男、女装をする趣味も無い。  にも拘らず、着ているのが女物の夜着という事は、少年を連れて来た人間──男か女か不明──が着替えさせたのだろう。  犯人が女であるならば、単純に自分のを着させたとも考えられるが、若しも男だったら……  ブルリ! 「人を女装させた男って、怖っ! めっちゃ怖いよ」  思わず後ろの貞操は大丈夫かと心配し…… 「あれ?」  はたと気付いた。 「何だ、この脹らみ?」  僅かではあるが、胸に脹らみを感じた少年は首を傾げながら触れてみる。 「んっ!」  その際、敏感な部位が布というより絹だろう、服の部分に擦れて声を上げた。  ダラダラと脂汗を流す。  この脹らみ、腫れているという訳ではなさそうで、つまりこれは…… 「おっぱい?」  考えたくもない現実が、少年の目の前に在った。 「えっと、知らない……寝ている間に性転換手術でもされたのか?」  現段階ではこの説が一番説得力がある気が…… 「しねーよ!」
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