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―――ガラガラ。
少し錆び付いた音をあげながら、ゆっくりと引き戸を開ける。
「こんにちは。」
ドサッと、持ってきた大きなカバンを下ろしながら
静かな廊下に少し大きめな声で挨拶をしてみた。
「………。」
数秒待ってもなんの応答もないので、もう一度声を掛けようと唇を震わせる。
「すいませーん!」
さっきよりも気持ち大きめに奥へ声をかけると、"はーい"っと声が帰ってきた。
それからすぐに手前の障子がススッと開いて、中から見覚えのある優しそうな顔が出てきた。
「あらあら、いらっしゃい。早かったわねぇ。」
ニコニコと笑う顔はどこか父を思い立たせた。
「今日からよろしくおねがいします。」
「いえいえ、こちらこそおねがいしますね。」
ゆっくりとしたお辞儀につられるようにして俺も頭を下げた。
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