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「とりあえず荷物運んじゃいましょうか。」
軽い挨拶を済ませて案内された場所は、6畳はある部屋だった。
「陽彦が使ってた部屋だから、家具はそろってると思うんだけど。」
陽彦というのは親父の名前で、つまりはここは親父の部屋だったわけだ。
机に本棚、ベッドにタンスまである。
「足りないものがあったら言ってね。」
そう言っておばあちゃんは下に降りて行ってしまった。
肩から提げたままの鞄を床に置き、
タンスの引き出しを開けて中を覗くと、きっとおばあちゃんが中身を出してくれたのであろう。その中は空っぽだった。
次に本棚に目をやると、漫画やら教科書やら文庫本やらが乱雑に並んでいた。
―ん?なんだこれ?
その中に一つだけ真っ白な背表紙の本があった。
小さな好奇心に駆られて手を伸ばす。
――ピンポーーン
『ちわーー宅配便でーす!!』
…宅急便?そっと窓から外を覗いてみると、従業員らしき男の人が大きな段ボールを抱えていったり来たりしている。
もしかして!そう思い、階段を駆け降りた。
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