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玄関を除くと、宅配便の人とおばあちゃんが話していた。
「あ、陽太君、ちょうどよかった。」
「これって…。」
「そう、陽太君の荷物よ。」
詰まれた段ボールの表面にはマジックで服とか本、カバンなどと中に入っているであろうものが書かれていた。
いいって言ったのに…。
大きめのスポーツバック1つという俺の荷物を見て親は少し驚いていた。
財布に服に少しの下着、それに歯ブラシ。それがカバンの中身。
ケータイは置いてきた。どうしても入れる気になれなかったから。
呆然と段ボールを見つめる俺におばあちゃんは何も言わずに部屋に戻っていった。
とりあえず部屋に運ぶか。
そう思い、とりあえず手前の"服"と書かれて段ボールを持ち上げてみるとズシッとした重みが腕を伝ってわかった。
母さんはどんだけ詰めたのだろうか。
段ボールに入るだけの服を詰め込む母さんを想像し、ここに来て初めての笑みが零れた。
この重みだけで母さんの心配が痛いほど分かった気がする。追い出された訳ではないと実感出来た気がして少し嬉しかった。
でもそれと同時に、傷の癒えるまでの期間の長さにも感じ、諦めにも似た感情が生まれた気がした。
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