追想

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「ふうー。」 何度か玄関と部屋を往復して、なんとか全ての段ボールを部屋運びきった。 さすがにちょっと疲れたが、今やらないとずっとこのままにしておきそうな気がしたので、とりあえず服だけでも出すことにした。 ビビーっと適当にガムテープを剥し、段ボールを開く。 ギッシリと隙間無く詰め込まれた服は、俺が好んでよく着る服ばかりだった。 「…ん?あれ?」 空のタンスを開き、服を仕舞い込むが上手く隙間無くタンスに入れることが出来ない。 家では母さんがやってくれていたからな。と苦笑いを零しつつ、悪戦苦闘しながら服を並べていく。 でも途中からあることに気がついて手をとめた。 俺の一番お気に入りの…雫から貰った服がないことに。 他のダンボールを開けてみるも、雫から貰った服や帽子、マフラーも入ってはいなかった。 きっと母さんなりの心遣いなんだろう。 雫に関するものを入れたら、また俺が思い出してしまうかもという。 ありがとう母さん…。 .
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