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朝、カーテンの隙間から零れる陽の光を瞼に受け、目を覚ました。
あぁ、そうか…。
見慣れぬ天井を見て、昨日の記憶が頭の中を掠めていく。
ベッドから抜け出して、部屋のドアを開けるとふわりと良い香りが鼻先をくすぐっていった。
それがみそ汁の香りだと頭が気付いたと同時に、腹の虫が小さく鳴いた。
ギシッ…ギシッ…と階段を降りる度にだんだんと香りが濃くなり、微かだけど包丁の音も聞こえる。
台所に繋がる障子を開けると、まな板に向かうおばあちゃんの背中があった。
「おはよう。」
「あら、おはよう。よく寝れた?」
「は…、うん。なんか手伝いま…うよ?」
「ありがとう。じゃあお皿出して貰っていいかな?」
クスクスと笑いながらおばあちゃんは食器棚を指差す。
俺の日本語がおかしいのは、昨日のおばあちゃんとの約束が原因だ。
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