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人が人生というものに絶望した時、全てのものがモノクロに染まると思ってた。
だけど…実際にその状況に立たされてみると、意外にも俺の眼は全てのものをクリアに脳まで届けてくれた。
そんなカラフルな世界は俺に時の流れを見せつけるように、くるくると色を変えていく。
…俺の記憶の中の彼女も、少しずつ色褪せて行く気がして、俺は全てから目を背け逃げたんだ。
ベットの脇にもたれ掛かり、力無く投げたした足の近くにはいくつもの写真が散らばっていた。俺と雫の大切な思い出。
どの写真にも雫と俺は一緒に写っていた。
嬉しい時も、悲しい時も…。
投げ出していた足を引きずるように立てて、目の前の膝頭にまた少し熱くなった瞼を押し当てる。
それと同時に映写機が廻り始め、閉じた瞼の裏に映像を流し始めた。
幸せだった、たった…たった数ヶ月前の出来事が―――。
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