太陽みたいなやつ

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「あっ、おい!」 病院に着くと雫はすぐさま自転車から飛び降り、駆けだした。 もう一度呼び止めたが彼女の耳には届かなかったようで一度も振り向くことなく、入口へ消えていった。 俺も急いで駐輪場に自転車を停めてカギをしようとするがなかなか掛かってくれない。 「くそっ…!」 ようやくカギが掛かり、雫の後を追うように入口へ駆けだした。 入口を通り過ぎると中はガヤガヤと診察に来た人でごった返していた。 その人混みの中、雫の姿を探そうと必死で目を凝らすが、そこにはもう彼女の姿は見当たらなかった。 「あの、すいません!さっき此処に運ばれた天野幸恵[サチエ]さんは…?」 「少々お待ちください。」 近くにいた看護士さんを捕まえて、そう聞くと一瞬考えた様な顔をして、すぐに笑顔でそう答えると受付まで聞きに行ってくれた。 すると、違う看護士さんがやってきて 「どうぞこちらへ。」 そういった彼女の顔にはさっきの看護士さんの様な笑みはなく、それがまた更なる不安を駆り立てた。 まさか…、と。 カツカツと足音が聞こえるほど静かな院内が、俺の思考をさらに加速させた。 早く知りたい。 いや、でも…。 そんな気持ちのせめぎ合いの中、廊下の先に雫を見つけた。
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