太陽みたいなやつ

10/14
前へ
/38ページ
次へ
「そういや、あんた名前は?」 繋いだままだった手をよいしょーとゆるい掛け声とともに引っ張られ、自分がしゃがみこんでいたことに気がつく。 「ありがとう。俺、陽太」 そう言って先ほどよりも近くなったそいつに目を向ければ、思ったよりまだ少し幼い顔がよーたね!っとニカッと笑った。 なんだかふにゃっとした言い回しは彼独特の喋り方なのだろう。 立ち上がって見れば、身長はそんなに変わらず彼の方が少し高いくらい。 「俺は浩介[コウスケ]!」 もっかいよろしくー。とブンブンと握手した手を振り回された。ガクガクと揺れる視界にまたもや苦笑いをするしかない。 浩介の指にはまっている3つの指輪がさっきから食い込んで痛いのだが...。 そう思ったところで浩介はやっと手を解放してくれた。自分の手を見ると、ちょうど指輪の形に窪んで模様の跡まではっきり付いていた。 突っ込む勇気も元気も吸い取られた俺は、顔をしかめて自分の手を見ることしかできない。 そんな俺に気がつかずに浩介は徐ろに携帯を開き、あーやべーと呟いた。 「学校始まるー」 あと、10分で。と携帯の画面を見せられ、うおぉい!と突っ込んだのは言うまでもない。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加