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「そういや、あんた名前は?」
繋いだままだった手をよいしょーとゆるい掛け声とともに引っ張られ、自分がしゃがみこんでいたことに気がつく。
「ありがとう。俺、陽太」
そう言って先ほどよりも近くなったそいつに目を向ければ、思ったよりまだ少し幼い顔がよーたね!っとニカッと笑った。
なんだかふにゃっとした言い回しは彼独特の喋り方なのだろう。
立ち上がって見れば、身長はそんなに変わらず彼の方が少し高いくらい。
「俺は浩介[コウスケ]!」
もっかいよろしくー。とブンブンと握手した手を振り回された。ガクガクと揺れる視界にまたもや苦笑いをするしかない。
浩介の指にはまっている3つの指輪がさっきから食い込んで痛いのだが...。
そう思ったところで浩介はやっと手を解放してくれた。自分の手を見ると、ちょうど指輪の形に窪んで模様の跡まではっきり付いていた。
突っ込む勇気も元気も吸い取られた俺は、顔をしかめて自分の手を見ることしかできない。
そんな俺に気がつかずに浩介は徐ろに携帯を開き、あーやべーと呟いた。
「学校始まるー」
あと、10分で。と携帯の画面を見せられ、うおぉい!と突っ込んだのは言うまでもない。
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