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「雫ーっ!!」
「今行くー!」
もう何度目かわからないこのやりとり。
かれこれ俺は30分位ここに立って雫を待っている。
余裕を保って迎えにきたのに、遅刻ギリギリの時間になってしまった。
高校生になっても変わんねぇな。
そう苦笑いをしていると、新しい制服に身を包んだ雫が2階からドタバタと降りてきた。
「ごめんね、陽太?」
「はいはい。」
雫は中学のときから支度が遅くて、その度に俺は待たされて、しかもその度に雫はいまの様な言葉を口にする。
つまりはいつもどおりってことなんだけど。
「よしゃ、行くぞ。」
地面を強く蹴りペダルを強く踏み込むと、れっつごー!と、楽しそうな声が聞こえてきた。
いくつだよ。
まぁこれもいつものこと。高校の入学式というちょっと特別な日でも、ちっとも変わらない俺ら、て…。と、本日2度目の苦笑いを零してしまった。
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