追想

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―――がちゃ…。 部屋のドアが開く音で目が覚めた。どうやら眠ってしまっていたらしい。 「陽太…?」 そっと、中を覗き込む様にして母さんが顔をみせた。 「陽、話があるの。少し良い?」 俺と目が合うと、部屋に一歩入りながら言葉を投げ掛けてきた。 「………。」 黙っていることを肯定と取ったのか母さんはゆっくりと話し始めた。 「小さい頃よく遊びに行ってたおばあちゃんのこと覚えてる?」 「……。」 「海も山もあって良いところだったわよね。」 「……。なにが言いたいんだよ?」 遠回しな言い方をしないではっきり言えよ。 母さんは床に散らばっている写真に目をやった。 「お父さんとも話したんだけど、陽太はここにいる限り雫ちゃんの死から抜け出せないと思うの。」 「……。」 「だから、おばあちゃんの家で、しばらく生活してみたらどうかしら?でも、それは陽太の意志で決めていいのよ。」 「……。」 しばらくの間、沈黙が続いた。 母さんは俺から目を逸らさず、なにかを待っているようにみえた。 俺の答えを待っているのか? 「考えて置いてね?」 しかし、母さんはそう言って部屋を出ていってしまった。 そして俺は母さんが出ていった後も、ボーッとドアを見つめていたままだった。 .
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