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「オギャーオギャー」
華やかさが有名であるここビュルバのある豪邸の一室から赤ん坊の泣き声が聞こえてくる。
しばらくして赤ん坊の泣き声が止むと次は誰かがこの部屋に向かって走ってくる足音が聞こえる。
バンッ
「産まれたかマリア!?」
不意に扉を開く音と共に扉の向こうからスーツ姿のいかにも厳格そうな男性が息を切らせて入ってくる。
「ふふっ、落ち着いて下さいレオン。急がなくても子供達は逃げませんし、それに、そんなに大声を出すと子供達が起きてしまいます」
マリアと呼ばれた女性は部屋に入って来た男性レオンを見て微笑む。
「分かっている……が、体が頭とは別に動いてしまったのだからしょうがない。それで私達の子供はどこだい?」
そう言いながらレオンは今だ落ち着きがない表情で部屋の中を捜し始める。
「“子供”じゃありませんよ“子供達”ですよレオン?」
「それは本当かマリア!?……!!?双子なのか?」
驚きながらも律儀に答えるレオン。
しかし、レオンを見て苦笑するマリアの行動からしてレオンの解答は外れているのだろう。
すると、直ぐに返答が返ってくる。
「いいえ、双子ではなく三つ子ですよレオン」
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