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階段を降りている最中にも、チャイム音が鳴り続けている。多分、インターホンを連打しているんだろう。
あーうっとおしい。文句言ってやろ。
そんなことを考えていると、段々チャイムの音のピンポーンがピピピピピという連続音になっている。
「はいはいはいはい。今開けるから待ってろよ」
かったるそうな口調で愚痴りながら、玄関の鍵を解除して、ドアを開いた。
「どなたさま……」
「おっ、やっと――」
バタンッと、速攻ドアを閉めた。それは何故かと言うと、ドアの先にはいるはずのない、てか何故いるのか分からない制服姿の馬渕愛がいた。
「おい、何で閉めるんだよ。開けてくれ」
何であいつがいるの? 何で?
「おい、聞こえないのか?」
うん、聞こえない。
「そうか、なら仕方ない」
俺からあっちの様子は分からないが、ドアから離れていくのが分かった。諦めてくれたのならいいんだが。
が、そんな考えは甘かった。
「よーし、お邪魔するぞ」
いきなり、リビングから聞こえた馬渕愛の声に対して耳を疑いながら、俺はリビングのドアを勢い良く開けた。
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