35人が本棚に入れています
本棚に追加
ドアを開けた先には、窓から部屋へと侵入した馬渕愛が窓際に立っていた。しかも土足で。どうやら俺は鍵を閉め忘れていたようだ。自分が嫌になる。
それよりも土足で入るとか人間性を疑いますね。よくこんなんで生徒会長になれたと思う。
俺がジーッと今まで外を歩いていた雑菌まみれの黒い革靴を見ていると、何を思ったのかとんでもない事を口にした。
「なんだ? 足ばっかり見て……もしかして優山は生足フェチなのか?」
「違うわアホ。今お前の足を守ってくれてる黒くて雑菌まみれの物を見てんだよ」
俺が目で下を見ろとジェスチャーすると、あっ、とした顔でいそいそと靴を脱いで窓の外に置いた。
「いやー悪い悪い、夢中だったもんで」
「人ん家に不法侵入する事に夢中だったのか。よし、警察いくか」
俺は馬渕の腕をギュッと掴んで玄関まで連れていこうとしたら、ぐっと踏ん張って抵抗してくる。
ついでに俺の手をバシバシ片手で叩いている。正直まったく痛くない。
「すまんすまんすまん! 本当すまん! 許してください!」
必死に謝りながら必死に抵抗してくる馬渕を見て、俺は掴んでいる手の力を少し抜いた。
すると、馬渕の表情はパァっと明るくなった。
最初のコメントを投稿しよう!