人を助けろだと?

8/30
前へ
/156ページ
次へ
「んで、その“神様”とやらが俺に何の用でございますか?」  何かどうでもよくなってきたので、話を合わせる事にした。 「それはな……」  その“神様”? って奴が俺の両肩をグッと掴んできた。 「おぬしは、遅かれ早かれもうすぐ死ぬんじゃよ」  ……はっ? 何だって? 死ぬ? 俺が? ますますあり得ないな。 「ぬっ? 何だその顔は! もしや信じてないな?」 「当たり前だろ。人が何時死ぬなんて予測出来る訳ないだろが」 「なら、これを見てもか?」  “神様”とやらが窓を開けた。  何で開くんだよ……。 「おぬし、あれを見ろ」  “神様”が指差した先には――何も見えない。 「何を見ろと?」 「あっ、忘れておった。人間の視力では到底見えないな。ほれ、これを使え」  渡されたのは、双眼鏡だった。どこから出したのか全く分からなかったが、双眼鏡を覗いて再び“神様”が指差した方を見た。  うわ、何これ、めっちゃ見えるんですけど。 「高いビルがあるのが分かるか?」 「ああ、見える」  確かに見える。しかし、この双眼鏡は凄いな。普通の奴じゃこんな遠くまで見えないぞ。
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加