人を助けろだと?

9/30
前へ
/156ページ
次へ
「今からそのビルが、あと少し経ったら爆破で崩れる」 「はぁ?」  俺は思わず目を反らして、“神様”を見た。 「いいから黙って見ておれ!」  頭を鷲掴みにされて、無理矢理覗かされた。  てか痛い痛い、あんまり力を入れるな、頭が割れちまう。 「ぬっ……そろそろだ」  少し頭を掴む力が弱くなった。その途端に、耳に小さく何かの爆発音が聞こえた。  俺が今見ているビルは、物凄い黒煙が上空に立ち込めていて、燃え方が半端じゃなかった。たちまちビルが、砂煙を上げて下から崩れていったんだ。  おいおいおいおい、まじですか。 「さぁ、早くテレビをつけるんじゃ!」 「いや、俺の部屋テレビ無いし」  言うのが遅れたが、俺の部屋は全くと言っていいほど何もない。  あるのは、寝るためのベットがあるだけで、高校生の部屋とは思えない程に何もない。 「リビングにはテレビくらいあるだろう」 「あるけど、このドア開かねぇから行けません」  そうすると、“神様”がゆっくりとドアノブを握り、扉を開けた。
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加