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さらに周りの木が大きくなってきた。
先ほどまで覗く事のできた星空はもう見えない。見えるのは木の枝だけであった。
動くものも何もない。
果たしてこの先に何があるのだろうか?
果たして何かがあるのだろうか?
そんな不安にも駆られる。
「はぁはぁはぁ・・・・・」
しかし少年はなおも走り続けた。
すると暗闇の先に一筋の光が見え始めた。
それは小さな小屋のようなものから漏れているようだ。
自分はここに向かっていた。
少年の中でその気持ちが確信として生まれていた。
少年はそのまま小屋に向かった。
もう誘導されている感覚はない。
自らそこに向かっているのだ。
「はぁはぁはぁ・・・・・」
少年は部屋の前で立ち止まった。
そしてドアをノックしようとした。すると、
グサッ、ガスッ
何かを刺す音がした。空耳だろうか?
グサッ、ガスッ
いや違う。空耳などではない。
それは確かに聞こえた。
少年は恐る恐る光の漏れる窓から、音の正体を確かめようと中を覗き込んだ。
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